ミニ臓器による新型コロナ治療薬の研究

人の臓器の機能を模したミニ臓器を、新型コロナウイルス感染症の研究に生かす試みが相次いでいます。ミニ臓器は、オルガノイドと呼ばれ、臓器を構成する複数種類の細胞を立体培養して作ります。ミニ臓器は人体での機能を保ち、理論上ほぼ無限に増やすことができます。細胞より実験結果の信頼度が高く、動物より実験数も多くできます。細胞などを使う実験に比べ、体内でウイルスが感染する様子や臓器ごとの違いが詳しく分かります。
iPS細胞よりミニ臓器を作製し、ウイルスを感染させ、複数の抗ウイルス薬を検証することができます。ミニ臓器で有望な薬を素早く絞り込めれば、研究の効率が高まります。軽症から重症まで、様々な症状の患者からiPS細胞を作って実験すれば、症状が異なった原因の一部を突き止められる可能性もあります。臓器ごとにウイルスの感染しやすさが異なることも、ミニ臓器の研究から分かってきています。

(2020年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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