リカレント教育の必要性

人生100年時代を迎え、社会人が大学などで学び直すリカレント教育が注目を集めています。IT(情報通信)分野を中心に技術が急速に進歩する中、技術や知識を学び直し、キャリアアップや転職につなげるのが狙いです。しかし、リカレント教育を巡って前向きな効果が確認されているにもかかわらず、日本では学び直しを実践している人の割合はまだ多くありません。25~64歳のうち大学などの機関で教育を受けている人の割合を比較すると、日本の割合は2.4%です。英国の16%、米国の14%やOECD諸国平均の11%と比べても大きく下回っています。

原因の一つが長時間労働と考えられています。働き方改革の進展で長時間労働是正は進んでいますが、学び直しの時間が不足しています。ワークライフバランスに配慮し、学び直しの時間を作ることが重要です。リカレント教育に対する企業の理解もカギを握っています。勤務先企業が費用を負担する研修などを受けている割合は、日本の労働者全体の4割と最下位です。本業に支障がある、教育内容が実践的でなく業務に生かせないなどとして、社員の就学を認めない会社もあります。
大学においては、地域性や特性を生かした様々なリカレント教育プログラムが誕生しています。厚生労働省と経済産業省も、人工知能(AI)やビッグデータ解析といった高度なIT技能の取得に必要な費用を助成します。厚生労働省は雇用保険の被保険者を対象に、1人当たり最大で受講費の7割まで支給します。学び直しを後押しし、成長分野の人材を増やす狙いです。

(2019年7月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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