リハビリ難民の増加

救急搬送を受け入れ、手術などを行う急性期病院では、リハビリの専門職が少なく、1日数十分、平日しかできないなど制約がある病院が多くなっています。毎日、2~3時間、リハ専門職と1対1でリハビリを行えるのは、全国に約9万床あるリハビリ病棟だけです。リハビリ病棟への入院は、病名や怪我の種類によって、発症や手術から1、2か月以内と決まっています。
転院期限の設定には、救急治療などを担う急性期病院からリハビリ病棟のある病院へ、早期に転院を促す狙いがあります。一般的に早くリハビリを行った方が効果が高いためです。しかし、期限切れで入れない重症患者が多くなっています。リハビリ病棟に入れず、療養病棟など他の病棟や介護施設に移れば、リハビリの時間が限られてしまいます。自宅に戻った場合に利用する外来のリハビリなどは、週に1~2日で数十分のところが多くなっています。
病気や怪我で入院した後、復職や社会復帰のために必要なリハビリを満足に受けられない、いわゆるリハビリ難民が増えています。希望者の多い都市部を中心に、合併症などで回復に懸念のある患者の受け入れが敬遠されるなど、病状や年齢で実質的な患者の選別が行われるようになってきています。この背景には、2016年度に導入された、リハビリの成果が大きい病院に高い報酬を出すアウトカム(成果)評価があります。そのため、希望者の多い都市部を中心に、早期回復の見通しが立ちにくい患者らを断る事態が発生しています。

(2020年2月24日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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