ワクチンの治験方法の再検討

開発段階の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が、これまでより規模を小さくして実施できるようになりそうです。厚生労働省としては、欧米に比べ、出遅れが目立つワクチン開発を後押しするねらいがあります。
治験は、通常参加者を半数ずつワクチンをうつグループと、生理食塩水などの偽薬をうつグループに分け、その後の発症率などをもとに効果を比べます。しかし新型コロナのように、すでに使える有効なワクチンがあるのに、半数の人に偽薬をうつのは、倫理的な問題が残ります。国内でもすでに米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカの3社のワクチン接種が進んでいます。治験の参加者を集めにくくなっていますが、最終段階の治験には数万人単位の参加者が必要となります。
現在、偽薬を使わない方法が検討されています。既存のワクチンをうったグループに対し、新しいワクチンをうったグループの効果が一定以上劣らないことを証明します。発症率ではなく、ワクチンをうった後に体内でつくられてウイルス感染を防ぐ中和抗体の量を比べることが検討されています。参加者を数千人単位に減らせ、効果をみる期間を短くできる可能性があります。

(2021年6月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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