ワクチン確保の国際格差

新型コロナウイルスのワクチン確保で、国際格差が広がっています。米国や欧州、日本などが大量のワクチン購入契約を結ぶ一方、アフリカなどの新興国は購入のメドがたっていません。公平分配を目指す国際機関も万能ではありません。中国やロシアが、新興・途上国にワクチン外交を仕掛けています。
国ごとのワクチン調達格差が鮮明です。米デューク大学の調査によれば、各国のワクチン確保はEUが15億回分で、米国11億回分、日本2億9,000万回分と人口を上回る契約を結んでいます。置き去りにされているのが途上国です。WHOなどが主導するワクチン共同購入の枠組みであるCOVAX(コバックス)ファシリティーは、途上国用に最大20億回分のワクチンを確保し、2021年末までに各国へ公平に分配する計画を打ち出しています。
しかし、ワクチンを行き渡らせるため、コバックスは供給相手国の人口の20%を上限としています。コバックス経由だけでは、人口の6~7割が免疫を持つ必要がある集団免疫を獲得できません。ワクチンを公平に分配する道筋が見えない中、ワクチン開発を進める中国やロシアが、途上国や新興国に接近しています。中国はブラジル、チリ、トルコに数千万回分を、ロシアはメキシコやネパールなどにワクチンを供給します。

 

(2020年12月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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