不登校の小中学生に対するデジタル教育

文部科学省の2019年の調査によれば、不登校の小中学生は約18万1千人と過去最多となっています。教室外での学習支援の充実が課題となりますが、学校のマンパワーは限られています。

そうした中で、個別の学習ニーズにある程度応えられるデジタル教材の活用が広がり始めています。デジタル教材とネットワークがあれば、生徒がどこにいても学習状況を把握し、計画的に指導することができます。常駐の講師は生徒と人間関係を築き、安心感を与える効果も大きいと思われます。
しかし、端末を使って1人で学習できる生徒は、1~2割に過ぎません。デジタル教材が本当に有効なら、別室や在宅での学習を望む生徒が増えていくかもしれません。進む技術革新が学校にもたらすジレンマです。子どもの不安を解消し、教室を安心できる空間にする努力も必要です。
ICTの活用は、目的ではなく選択肢の一つです。学校にはカリキュラムマネジメントをはじめ特別支援教育、不登校支援など様々な課題があります。それには学校だけでなく、家庭、地域、そして民間企業も巻き込んだ支援体制が必要となります。

(2021年6月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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