世帯構造の変化

2020年と1980年の国勢調査によれば、単独世帯は19.8%から38%へ急伸し、夫婦と子、3世代などの世帯の割合は大幅に下がっています。かつて家の修繕費の負担は、同居する若い世代へ順次リレーされてきましたが、現在は高齢者が晩年まで捻出を迫られることになります。総務省の家計調査によれば、世帯主の年齢が60歳以上の二人以上世帯の持ち家率は、2021年で90%を超えています。

 

高齢者が安心して住宅に住めなくなっています。持ち家の修繕費の負担は増え続けています。長寿化によって修繕回数が増え、工事単価も10年で2割上昇し二重苦となっています。賃貸住宅でもオーナーの約7割が、高齢者の入居に拒否感を抱いています。血縁に加え、地縁も薄れたことは、高齢者の賃貸住宅入居が難航する一因でもあります。
オーナーの高齢化も影響しています。高齢のオーナーは、長期間をかけた投資回収が難しいため、バリアフリー化などの工事に慎重になり、高齢者の入居に適した物件の絶対数が増えにくいことが考えられます。早期に介護施設への入居を考えても、費用が高額な施設も多くなっています。

(2022年6月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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