世界の人口問題を考える―Ⅰ

世界の人口
世界の人口は早ければ21世紀半ばにも減少へと転じます。第2次世界大戦が終わると、人口爆発の波は欧米からアジアへと広がり、長らく経済成長の源にもなってきました。しかし、これから世界は人口減少に転じ、アフリカだけが人口増を続ける時代へと変わっていきます。
第2次世界大戦の終結から間もない頃、人口増加の主役は欧米でした。当時の主要国の出生率は3前後と高く、人口増の流れをけん引してきました。20年ほどをかけて、世界は人口爆発と経済成長のピークへと歩んできました。しかし、20世紀末、欧米の人口が伸び悩み始め、かわりに爆発的な増加を見せたのが中国とインドです。人口増と経済成長が連動し、世界を引っ張る役割を担っています。
今後21世紀半ばには、これまで最多数派だったアジアの人口増にブレーキがかかってきます。国連推計によれば2055年、米ワシントン大学の推計では2065年に、世界はいよいよ人口減少時代に突入します。他方、アフリカでの人口増は当面続きます。2100年には、アジアとアフリカの人口差は9%ほどに縮まり、結果としてアフリカ最多数の時代になります。

 

(2021年12月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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