中国の医療市場の増加

中国は13億人以上の人口を抱え、近年は経済成長に伴い、健康寿命も延びています。WHOによれば、平均寿命は2015年時点で男性74.6歳、女性77.6歳に達し、高所得者層や中間所得層を中心に健康に対する意識改革が進んでいます。国民1人あたりの医療費は、2015年で426ドル(約4万6千円)と2000年の10倍近くになっています。それに伴い、中国の医療市場は拡大が続き、2018年で1370億ドル(約15兆円)と2008年から3.4倍になりました。日本を超え、米国に続く世界2位、2023年には1700億ドルになる見込みです。
市場拡大の要因の一つが医療ニーズの変化です。1990年に感染症が死亡原因の17%を占めていましたが、治療薬の普及を背景に2015年に9.8%に減少しました。代わりに、高血圧や糖尿病などによる脳血管疾患やがんなどの疾患が伸び、先進国と同じような疾患構造に変化してきました。抗菌薬で解決する感染症と違い、手術や高額な薬剤費を必要とする治療が医療費の上昇にもつながっています。

 

(2019年8月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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