中小製造業の苦境

日本の製造業は、高い品質やコスト削減をお家芸として高度成長期をけん引し、世界を席巻してきました。いまもGDPの2割を占め、経済を支えています。しかし、電機産業が衰退したように、デジタル化とグローバル化で競争は激しさを増しています。高齢化と後継者不足も影を落としています。
自動車産業に代表される製造業は、下請け構造が長く続いてきました。弱い立場の小規模事業者ほど苦境にあります。経済産業省の工業統計調査によれば、2015年に約19万カ所あった従業員が4~49人の中小事業所は、2018年までの3年間で約2割にあたる3万4千カ所も減っています。50人以上の事業所が増えたのとは対照的です。町工場の約7割が、売り上げが前年比で2割以上減っています。デジタル技術の導入などで、ものづくりの足腰をどう強くできるかが、コロナ禍で改めて問われています。

(2021年2月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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