乳児用液体ミルクの有用性

液体ミルクとは、粉ミルクと同様の成分を有した液状乳のことであり、新生児から飲ませることが可能です。粉ミルクは乳児用調整粉乳と呼ばれるのに対し、液体ミルクは乳児用調整液状乳と呼ばれます。調整済みのミルクが液体となっており、お湯や水に溶かしたり、薄めたりする必要はありません。容器は紙パックや缶で、主に哺乳瓶に入れ替えて飲ませます。無菌で容器に充填され、常温保存が可能であり、保存期間は開封前で半年から1年ほどです。厚生労働省の審議会に提出された微生物データでは、7.5か月までの保存期間中、細菌の陰性が確認されています。また、保存期間中の栄養成分の変化も問題とならないことが確認されています。
欧米では女性の社会進出などを背景として1970年代から普及しており、育児先進国ともいわれる北欧ではとりわけ利用者が多く、スウェーデンでは粉ミルクと液体ミルクはほぼ半々、フィンランドでは液体ミルクが9割以上となっています。液体ミルクは溶かすための清潔な水や、哺乳瓶に入ったタイプでは容器は使い捨てのため、洗浄のための水は不要で、お湯を沸かすための熱源も不要です。液体ミルクと粉ミルクの授乳までの時間を比較すると、粉ミルクは約5分、液体ミルクは約5秒とされています。

(月刊母子保健 第719号2019.3.1)
(吉村 やすのり)

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