乳歯から被曝調査

 福島県歯科医師会などが、県内外から提供された子どもの乳歯に含まれている放射性物質を測定する研究を進めています。胎児期の歯の形成段階で体内に取り込まれた放射性物質がそのまま残りやすい性質に着目し、事故後の被曝状況や健康影響の解明につなげたいと考えています。環境省の研究調査事業として2013年度に開始しています。これまで、北海道、新潟、静岡、熊本、沖縄の歯科医師会と連携し、本人や両親の同意を得て、約5,560本の乳歯を集めています。
 対象となる主な放射性物質はストロンチウムで、カルシウムと似ているため骨や歯にたまりやすいとされています。これまでの検査結果では、ほとんどの歯で微量の放射性物質が検出されましたが、地域間での差は確認できていません。過去に行われた核実験や自然界に存在する放射性物質が原因とみられ、第1原発事故による影響は考えにくいとしています。このような調査は、内部被曝を検討する上で大変意義深いものです。

(2017年7月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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