人口減少社会への突入

日本の人口減少は、年間の死者数が出生数を大きく上回ることで加速していきます。戦後で出生数が最も多かったのは第1次ベビーブームの1949年で、約270万人を記録しました。死亡数は約95万人で、差し引きの自然増は175万人でした。1971~1974年の第2次ベビーブームでも、出生数は200万人台に達していましたが、以降は減少傾向をたどっています。2005年の出生数は約106万人で、初めて死亡数約108万人が上回り、約2万人の自然減が生じました。2007年以降は自然減が続いています。出生数は、2016年に約98万人で初めて100万人を切り、2017年には約95万人に減少しました。死亡数は、2003年に約101万人で初めて100万人を超え、2017年は約134万人となっています。

2053年には1億人を割り、1966年と同じ9,900万人台に落ち込むと見られています。65歳以上の高齢化率をみると、1966年は6.5%でしたが、2053年は推計38.0%になると推計されています。年齢構成の変化は、働く現役世代の負担で高齢者の暮らしを支える仕組みの社会保障に大きな影響を与えます。高齢化率が低く、現役世代(15~64歳)が多かった1966年を見ると、高齢者1人を現役世代10.6人で支えていました。しかし、超高齢社会の2053年では1.4人で支えることになってしまいます。

社会保障給付費は高齢化が更に進む2040年度には、現状の約1.5倍となる190兆円程度に膨らみます。年金、介護、医療など高齢者に手厚い構造になっているためです。これをどう見直し、現役世代の負担増を和らげていくかが、今後の緊急課題です。充実するには財源が必要で、消費税率引き上げは、避けて通れません。

(2019値7月13日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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