人生100年時代

人生100年時代とは、英国の学者、リンダ・グラットン氏らが書いた「ライフ・シフト」という本がきっかけです。そこで紹介された研究によれば、2007年に生まれた日本の子どもは107歳まで生きる可能性が50%あるとされました。これまでは人生80年時代といわれてきまたが、人生100年時代のことを考えようという機運が高まっています。
0歳児が平均してあと何年生きられるかという数値を示したのが平均寿命です。2016年の日本人の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年です。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2065年には男性の平均寿命は84.95年、女性は91.35年にまで延びるといわれています。
政府は昨年9月に有識者からなる「人生100年時代構想会議」を立ち上げました。長い高齢期を生きていく上でどのように仕事を確保し、生きがいのある生活を実現していくかを検討しています。高齢になっても楽しみながら働けるような形で職業寿命を延ばしていく必要があります。そのために働き方を考えることが大切になります。今後は、70~80代まで働くとすれば、働き方に柔軟性を持たせることが必要になります。1つの仕事を続けた後、一旦、その仕事を辞めて「学び直し」をして、別な職種につくことも想定されます。
平均寿命がいま延びているのは、男女ともがんや心臓病、脳卒中、肺炎などの死亡率が低くなっているのが要因です。しかし、高齢になると、介護が必要な状態になったり入院したりするので、健康でいられる期間は平均寿命よりも10年くらい短くなっています。健康上の問題で日常生活が制限されることがない期間を健康寿命といいます。老後も長く働くには、これを延ばしていくことが重要になります。人生100年時代に備えるには、健康寿命を延ばさなければなりません。

(2018年7月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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