介護保険料の負担増

介護給付費に自己負担分を加えた介護費の総額は2018年度に10兆1,536億円となり、初めて10兆円の大台に乗りました。介護保険制度が始まった2000年当時の3倍以上に膨らんでおり、医療費を上回るピッチで膨張が続いています。政府は2040年度に約25兆円に達すると試算しています。健保連によれば、現役世代の介護保険料は、平均で年10万912円に上る見込みです。国は2017年度から給与・賞与の合計金額に応じて保険料を決める総報酬割という仕組みを始めており、所得が多い現役世代ほど介護保険料の負担が重くなっています。
厚生労働省は、3年ごとの介護保険制度改正に向けた改革案を示しています。高所得者の自己負担額の上限を引き上げるほか、介護施設に入る低所得者への生活費の補助も縮小します。一方、原則1割を自己負担する介護保険で、2割負担の対象者を広げるなどの抜本的な改革は見送っています。具体的な上限額は年収約770万円以上が月9万3,000円、年収約1,160万円以上は月14万100円とします。
現状では単身者の場合、預貯金などの金融資産が1,000万円以下の人が対象になっています。見直し案では単身者の資産基準を細分化し、年間の所得が80万円以下で650万円、80万円超~120万円以下は550万円、120万円超の場合は500万円まで下げます。一定の所得や金融資産がある人は、補助が受けにくくなります。年間の所得が280万円以上の人は、介護サービスが2割負担になっています。現役並みの所得とされる340万円以上の人は、3割負担です。現在、介護を受けていない人を含めた高齢者のうち2割負担は全体の20%ですが、対象を25%広げるだけでも国費負担を100億円規模で抑える効果があります。2割や3割負担の対象者拡大は主な検討課題になりましたが、今回は見送られました。

 

(2019年12月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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