介護費用の増加

 2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、社会保障費はますます膨脹してしまいます。高齢化が進み、介護サービスにかかる費用は増え続けています。厚生労働省の推計によれば、5人に1人が75歳以上になる2025年度には、介護費用は現在の2倍の約21兆円に膨らみます。財源となる65歳以上の保険料は、現在の月5,514円から2025年度には月8,165円に跳ね上がってしまいます。
 しかし、2018年度の介護報酬は引き上げられます。高齢者の入退院時に病院と情報共有したケアマネジャーの報酬を充実させるほか、自宅での看取りに力を入れる訪問看護事業者の報酬も増やしています。また、医療の必要性が高い入所者に対応できるように、特別養護老人ホームで深夜や早朝の緊急時に医師が訪問した場合も報酬を加算します。高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるように、介護と医療の連携や、リハビリなどによる自立支援を重視しています。人手不足などで経営が悪化し、疲弊している現場に配慮した点は理解できます。しかし、費用の適正化の課題はほとんど先送りされ、今後、税や保険料負担は、一層膨らんでしまいます。保険料負担の年齢を40歳より下に引き下げたり、軽度者向けのサービスを保険外にしたりするなど抜本的な見直しも必要です。

 

(2018年1月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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