企業主導型保育所の実態

首都圏1都3県の都県庁所在地にある企業主導型保育所では、定員枠に対している児童数の充足率は41%に過ぎません。充足率が20%に満たない地方都市もあります。しかし、2017年度に拡大した保育の受け皿は10万7,842人分です。このうち企業主導型は36%を占めています。政府は2020年度末までに32万人の受け皿確保を目指しており、企業主導型は今後も増えていくと思われます。

 

企業主導型保育所は、入所の可否を自治体ではなく企業が判断できるうえ、一定の基準を満たせば、国から認可保育所並みの助成金を受け取れます。また企業主導型保育所は、児童の定員枠に応じて受け取れる整備費が手厚くなっています。都市部で定員20人なら整備費が8千万円を超える場合もあります。実際に預かる子どもの数が定員枠に達しなくても一定の助成が見込めるうえ、様々な加算や運営費への支援もあるので見通しが甘くなりやすくなっています。認可保育所に入れなかった保護者に対し、企業主導型保育所に空きがあることを伝える仕組みを整えている自治体は、まだ少ないのが現状です。地方ではそもそも待機児童がいない地域でも開設している例もあります。

(2018年11月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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