企業主導型保育所の立地ミスマッチ

 政府が待機児童対策の柱に据える企業主導型保育所の整備は、子どもの多い都市部では進んでいませんが、待機児童がゼロの地域にできるといったミスマッチがおきています。設置が決まった約2万人分のうち、待機児童が集中する地域にあるのは4割どまりです。3分の1近くが、待機児童ゼロの自治体に設置されることになっています。
 企業主導型保育所は、待機児童が多い都市部で作りにくくなっています。理由の一つは都市部の高い賃借料です。東京都23区などの賃借料が高い場所はコストがかかり、国からの補助金だけでは運営できません。人件費の違いも大きな要因です。保育士の賃金は青森県の平均が月給約19万円なのに対し、東京都は24万円です。都市部で企業主導型に独自で運営費を補助する自治体はなく、企業にとって自己負担は重くなります。企業主導型は、定員の半数を従業員の子どもで満たすというルールも壁になっています。満員電車で子どもを抱えて都心を行き来するのは難しいものがあります。

(2017年4月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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