保育料の値上げ

 認可保育所の保育料は、公営、民営を問わず一律で、世帯収入に応じて自治体が決めています。市区町村が親の支払い能力を考慮し、収入によって細かく設定されています。東京23区は全国の自治体と比べて財政余力が高く、全般に保育料は低い傾向にあります。0歳児の保育は12歳児と比べて人手が要り、経費がよりかかります。子どもを預けて働く女性が増える中、自治体は税金を投じて保育所を運営していますが、費用は急増しています。
 大田区の場合、2015年度の認可保育所運営経費は211億円と前の年度を11%も上回っています。全体の4分の3を区が負担しています。しかし、高齢化に伴う財政需要や自宅で子育てしている家庭との公平性、受益と負担のバランスの観点から、今後手厚い補助を続けることは難しくなりつつあります。保育所を利用しない世帯との公平性にも配慮し、値上げで増加分や関連費用を補うことになりそうです。国は社会保険料に上乗せするこども保険などを財源とした幼児教育・保育の無償化を議論しています。子育て支援は、わが国の喫緊の最大の課題です。

(2017年7月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。