保育施設の安全基準の見直しの必要性

未就学児が通う施設を所管する厚生労働省、文部科学省、内閣府には、送迎バス運行の安全基準はありません。3府省は、「送迎中は保育や教育の時間にあたらない。運行の実態も把握していない」と説明しています。安全対策は施設任せなのが現状です。例えば、認可保育所は保育の時間中、1歳児6人につき保育士1人など国の配置基準がありますが、送迎バスには配置の基準はありません。
福岡県中間市の認可保育所で、5歳の男児が送迎バスに閉じ込められて熱中症で死亡する事故が起きました。今回の事故を重く見た3府省は、全国の自治体に登園時などの安全管理の徹底を求める通知を出しています。しかし、保育時間外である送迎バスの運行について、職員の同乗を求めることが望ましい、乗車時及び降車時に座席の人数の確認を実施し、その内容を職員間で共有するなどの留意を依頼したにとどまっています。
保護者は、送迎バスに子どもを乗せた時から施設に預けたと考えます。子どもを預かる施設は、安全を最優先に取り組み、自治体は研修などで対策を徹底させる必要があります。施設は安全対策を見直し、国は安全基準を作り、自治体は運営実態の確認や支援をすべきです。

(2021年9月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。