保育費用の内訳

 認可保育所は、保育士の配置人数や施設の面積などの国の定める基準を満たし、自治体ごとに認可した保育施設を指します。施設の運営にかかる費用は、国や都道府県、市区町村の公費と、利用者の負担によってまかなわれています。子ども1人あたりの保育費用は、全年齢平均で月10万円です。このうち68千円を国や自治体の公費で負担しています。利用者負担の平均は32千円です。
 しかし、0歳児では保育費用が20万円を超え、公費負担は月17万円に上ります。これとは別に施設整備費などがかかるので、国や自治体の実際の負担額はさらに大きくなります。保育費用の中心は、保育士の人件費であり、低年齢のクラスほどかさみます。保育士1人が受け持てる子どもの数が低年齢ほど制限されているからです。例えば45歳児のクラスでは30人受け持てますが、0歳児の場合は3人です。その分、保育士の人数が必要になります。
 利用者の負担額は、保護者の所得に応じて納める住民税の階層ごとに各自治体が決めます。国は上限を全年齢で10万円台前半と定めていますが、ほとんどの自治体でこれを大きく下回る保育料を設定しています。生活保護など、所得割課税額がゼロの世帯は、無料のケースがほとんどです。税収の多い都心部では、利用者の負担を低く抑えている自治体が多くなっています。
 認可以外の保育施設を認可外保育所と呼びます。認可外には、都道府県や市区町村が補助金を拠出する施設もあります。東京都は遅くまで働く親の需要に合わせ、開所時間を認可より長い13時間以上とするなど独自基準を満たした施設を認証保育所として補助金を出しています。認証保育所は民間企業や社団法人などが運営しており、保育料は施設ごとに決まります。月々の上限は8万円で、一般に認可より高額です。補助金などを一切受け取らない認可外では、保育料と施設側負担でまかなうため保育料が高くなりがちです。都心部では月の保育料が20万円を超える施設もあります。

(2018年1月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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