候補者男女均等法成立に憶う

選挙で候補者の男女の比率を均等にするように促す候補者男女均等法が成立しました。候補者男女均等法は、国会や地方議会の選挙で、男女の候補者数をできる限り均等にするよう求める内容です。候補者数の目標の設定など、政党に自主的な取り組みを求めています。強制力はありませんが、議会に女性を増やすための日本で初めての法律です。
この法律が成立したからといって実際に達成できるかについては疑問が残ります。いまだ日本社会は、男女平等とはほど遠い状況にあります。放っておけば女性政治家は増えないから、あえて今回この均等法ができたのだろうと考えざるを得ません。表向きの目標だけで満足するのが日本です。すぐに効果を出そうとするなら、一定数を女性に割り当てるクオータ制などを採用すべきです。
女性政治家が少ない背景には、指導的地位にある女性の少なさや、女性候補を育成するシステムがなかったことによります。政党は女性を議員秘書として積極登用したり、女性候補を手厚く支援したりすべきでした。しかし新人が比較的参入しやすい地方選挙でも、女性政治家予備軍を育ててきませんでした。均等法で女性が十分増えなければ、男女とも候補者や議席の一定割合を切らないことを政党に課すクオータ制の法制化を真剣に検討すべきです。
今の国政においては、必ずしも日々の暮らしと政治が直結しているとの認識ができない状況にあります。待機児童問題だけでなく、性暴力や選択的夫婦別姓、長時間労働の問題など、女性や子どもをとりまく課題は山積しています。こうした問題に関心を持つことができるのは女性議員です。社会目線、生活目線で考える女性議員が増えれば、政策における優先度は上がるはずです。
国政では、年功序列や長時間労働といった文化が色濃く残っています。結婚や出産などで生活環境が変わる女性にとって、政治の世界で活躍するのは不利な状況にあります。政治の世界を変えるには、柔軟性や多様性を認めることが重要になります。付き合いや労働時間ではなく、その政治家が結果的に残した業績で判断していく必要があります。均等法ですぐに女性議員が増えるとは思われませんが、これまでとは違う人材をひきつける契機にはなり得ます。まずは、均等法で現状を少しでも変えるべきです。法律をきっかけに、女性政治家を一人でも増やすことが大切です。

(吉村 やすのり)

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