働き方改革関連法の成立―Ⅳ

労働生産性の向上
週49時間以上働く日本人は、2016年時点で働く人全体の20%にのぼっています。ドイツやフランス、英国と比べ8~11ポイントも高くなっています。フルタイム労働者の働く時間は、この20年間ほぼ横ばいです。残業代が生活給に組み込まれ、必要以上に残業してきた面があります。一方、2016年時点の日本の時間当たりの労働生産性は46ドルであり、米独の3分の2程度にとどまっています。わが国は、長く働いても成果が出ていない状況にあります。



今回の働き方改革は、いずれも、個人の働きやすさややりがいを高める改革と言えます。残業規制は、事実上青天井で延ばせる時間外労働を制限し、健康を守りやすくしています。同一労働同一賃金は、パート社員らのモチベーションを上げ、脱時間給は、労働時間規制に縛られずに働ける制度です。個人が能力を発揮しやすい環境をつくることで、生産性の向上が見込めます。長時間労働の是正は、女性や高齢者の就業意欲を高める効果も期待でき、労働力不足を和らげることにもつながることが期待されます。

(2018年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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