働く女性の健康支援-Ⅲ

月経困難症の治療
治療としては、通常は原因となる器質的疾患がある場合は手術の必要性を検討し、そうでない場合は主に薬物療法を行います。薬物療法としては対処療法として鎮痛薬、漢方薬も用いられることがありますが、現在ではホルモン療法が主体となっています。

OC(経口避妊薬)・LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)は、産婦人科で月経困難症の患者さんの治療によく使用されています。OCは、もともと避妊を目的として製造された製剤ですが、副効用として優れた月経随伴症状緩和効果を持っています。月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛などの治療を目的として保険診療で用いる製剤が販売されており、これをLEPと呼んでいます。OC・LEPの最大の合併症は血栓症ですが、発症頻度は1万人あたり3~9人と非常に稀ですので、過剰に心配する必要はありません。
OC・LEPはもともと周期投与が主体でしたが、最近はできるだけ出血している日数を減らす連続投与が選択できるようになっています。連続投与は周期投与よりも月経痛を有意に軽減することが示されており、他にも子宮内膜症の病巣縮小効果や再発予防効果、PMSに対する効果も連続投与が周期投与に勝ることが知られています。
黄体ホルモン製剤であるジエノゲストは、OC・LEPにあるような血栓リスクがないため、40代以降の女性にも使いやすいという利点があります。また子宮内黄体ホルモン放出システムは、子宮内に留置することで黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出させ、子宮内膜の増殖を抑制することから過多月経や月経困難症に効果があり、保険適用もあります。

(よぼう医学 2022.Spring №16)
(吉村 やすのり)

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