先端技術による医療へのアクセス支援

医療機関への移動をAIや移動診察車などで支援する医療MaaS(次世代移動サービス)の導入が全国で進んでいます。MaaSとは、様々な移動手段をデジタル技術でつなぎ、利用者が主体的に便利に使えるサービスを提供することを言います。医療への応用では、検査機器を載せた車をネットワークでつなぎ、医師が現場にいなくても診察できる取り組みなどが進んでいます。

 

医療へのアクセスは、過疎地だけではなく、大都市圏や地方の中心都市でも課題となっています。最寄りの医療機関まで1㎞以上の場所に住む高齢夫婦世帯は、2018年には120万世帯と2008年から4割増えています。大都市の周辺都市や地方の中心都市でも交通手段は自家用車が大半で、自分で運転できないと通院は厳しくなります。

医師が自宅に出向く訪問診療にも期待がかかります。医師は不足しており、負担増にもつながります。医療のデジタルトランスフォーメーションが不可欠となります。一般的な問診は、スマートフォンやパソコンなどを使う遠隔診療が普及すれば自宅でも可能になります。しかし、専門的な診断や手術などの治療行為の際は通院が不可欠で、AIを活用したタクシーの配車なども必要となります。医療MaaSは、地方部に居住する高齢者のように医療機関や薬局などへの移動の負担が大きい患者にとっては、必要な医療の確保に直結します。

(2022年6月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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