児童虐待―Ⅰ

子どもの虐待の現状
 2015年度の児童虐待の対応件数は10万件もありました。1990年から統計が取られていますが、子どもの数は減少しているにもかかわらず、全国の児童相談所が対応した子ども虐待の対応件数は、右肩上がりです。それは、リピーターが多いからです。親が一生懸命、しつけ、しつけと頑張ります。しつけは親のストレスが高じた時には結局体罰になってしまい、体罰が身体的児虐待になったり、暴言虐待のような心理的な虐待になったりします。
 両親の不和を平気で子どもの目の前で目撃させる面前DVも、心理的虐待のひとつです。最近は警察から通告されることも多くなり、それも件数が減らない要因です。虐待の5割以上は実のお母さんからの虐待で、父親は35%を占めています。この理由は主な養育者が母親だからです。これから男性の草食化がさらに進んで、イクメンが増えて、お母さんも仕事に行って、お父さんも家で家事をして、子育てをするようになると、この割合はひっくり返るかもしれません。母親の虐待の背景に、母親のメンタルヘルスが大きな要因になっています。

「周産期から見つめなおす児童虐待:アタッチメント障害の脳科学」
(吉村 やすのり)

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