児童虐待―Ⅱ

虐待の子どもへの影響
 小さい時期に逆境体験をし、トラウマ体験を受けて、なんとか命をとりとめます。そうすると幼児期に神経発達の混乱が起こります。そして、社会的な障害や問題行動につながります。そして情緒的障害、例えば不安やうつ、気分の障害が絶え間なく出現し、そして自己肯定感が低く、自分はいつも悪い立場なのだと、常に謝ったりします。そして認知機能障害、これについて一番分かりやすいのは早い時期からのIQの低下です。そして健康を害するような行動に出ます。これにはaddiction(嗜癖)も含まれます。使ってはいけない薬物、酒に手を染めます。薬物の効果が切れると、今度は犯罪を起こしてでも手に入れようとする依存症にもなりえます。
 こころの病は医学的な問題だけではありません。社会に適応できなくなり生活に困窮します。そうすると生活保護を請求するようになり、医療費も請求します。心の病だけではなく、体の病気にもかかります。メタボにもなって心臓疾患になりやすくなります。循環器疾患や肺がんにかかる率は、生涯3倍もリスクが高くなって、80年以上生きられる命が、なんと恐ろしいことに20年も短縮すると報告されています。このピラミッドの底辺となる小児期の逆境体験があるだけで長生きできなくなるのです。

「周産期から見つめなおす児童虐待:アタッチメント障害の脳科学」
(吉村 やすのり)

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