児童虐待―Ⅲ

暴言の脳への影響
 体罰、言葉の暴力、性的虐待、それからDVの目撃、どれをとっても脳の発達に悪影響を与えます。聴覚野は、音、聞こえ、会話、コミュニケーションに大事なところです。暴言虐待を受けた脳の聴覚野の周囲は、雑木林のように神経シナプスが刈り込まれていない状況、すなわち小さな大事な音が聞こえない状況になっています。暴言虐待は体に傷も火傷の痕もないですが、驚いたことにこころや脳にこれだけ影響があることが分かってきました。
 ストレスから話すことができるのに、言葉が出ない運動性失語症になります。この時障害されていると言われている弓状束、このような言葉を生み出す中枢と、言葉を感じ取る中枢を結ぶ神経線維の束、ここが暴言虐待で障害されていることも分かってきています。ことばの暴力では、体に傷はできませんが、脳には甚大な被害があり、それが子どもの発達期に起こっているということです。家族、学校、職場の中で言葉の暴力はあってはならないことです。

 

「周産期から見つめなおす児童虐待:アタッチメント障害の脳科学」
(吉村 やすのり)

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