公務員中級管理職員への女性の登用

国家公務員における女性の採用が徐々に増えてきています。女性の割合は4割近くまで高まったものの、管理職の割合は主要国と比べて低いままです。育児などの家庭生活と仕事が両立しやすい環境づくりは道半ばです。OECDによれば、2021年の国家公務員の中級管理職(本省課長級)における女性の割合は、ドイツやカナダの50%超と比べ、日本は主要7カ国(G7)で最低の5%未満に過ぎません。
総合職と一般職、専門職を合わせた国家公務員の2022年度の採用者をみると、女性の割合は37.2%で、10年間で10ポイントほど上がっています。厚生労働省や防衛省でも40%を超えています。しかし、採用面で男女差が小さくなっているのに、管理職は依然男性が大半を占めています。年功序列が根強い霞が関の人事で、一般職的に課長級になるには入省から20年ほどかかります。この慣行が続く限り、採用時点での女性の増加がなかなか反映されません。
育児休業などで職場を離れる期間の長い女性にとって、組織が求めるキャリアの実現が難しいだけでなく、本人も諦めてしまうケースもあります。優秀な女性職員が出産や育児などでキャリアを諦めれば、組織にとっても損失です。女性でも、出世コースから外れないために、育休を短期間で切り上げる人が多いとされます。育休を取る人が出世する前例を増やさないと変わらないと思います。
人事院の調査によれば、2020年度は一般職常勤の国家公務員の男性のうち51.4%が育休を取得し、初めて5割を超えました。2019年度の28%と比べて大幅に伸びています。社会全体で男性の取得割合は13.97%と対照的です。公務員の場合、民間と比べ制度さえ整えれば比較的取りやすい状況があります。

(2022年8月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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