内視鏡AIによるがんの発見

富士フイルムは、胃や食道のがんの疑いを自動で検出する内視鏡AIを発売しています。AIががんの疑いがある箇所を判定して画面上に表示し、検査中の医師に警告音とともに知らせます。医師はAIの判定を参考にして、疑いのある箇所を採取して検査するなど、早期発見につなげることができます。AIは富士フイルムが自社開発しました。国内の医療機関から、大量のがん画像のデータを集めてAIに学習させ、判定できるようにしています。
オリンパスや富士フイルムが出資するAI開発のエルピクセルも、大腸の内視鏡検査中にポリープの疑いをリアルタイムで検出します。オリンパスの内視鏡に対応し、初期費用数十万円と、月額課金数万円で利用できます。消化器内視鏡で世界シェアの約7割を握るオリンパスは、大腸の病変検出に力を入れています。
両備システムズは岡山大学と連携し、腹痛や下痢などを引き起こす難病である炎症性腸疾患の腫瘍の進行度合いを判断するAI診断システムを開発しています。正しく診断できる確率は80%で、医師らによる正答率を10ポイント上回っています。
内視鏡検査に熟練するには数年かかります。将来的にAIによるがんの疑い検出を活用する医師が増えることで、良質な医療にアクセスしやすくなります。世界の医療画像向けAIの市場規模は、2030年に119億ドル(1兆6千億円強)と2021年の約11倍になると予測されています。

 

(2022年12月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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