内部被曝

 放射線を浴びる被曝は、内部被曝と体の外から飛んできた放射線浴びる外部被曝に分けられます。内部被曝は、体内にとどまった放射性物質から出る放射線が、内側から体内の組織を傷つけます。外部被曝に比べて長時間被曝が続きやすく、局所的に重い影響を受ける恐れがあります。内部被曝を引き起こす放射性物質は、主に3つの経路から体内に取り込まれます。水や食物と一緒に取り込む場合、空気と一緒に吸い込む場合、傷口などの皮膚から吸収する場合があります。
 日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センターの事故は、鼻の穴に放射性物質が付着していたため空気と一緒に吸い込むことによって体内に取り込まれた可能性が高いと思われます。食物と一緒に食べたり皮膚から吸収したりする場合に比べて、一度に大量の放射性物質をとりこんでしまうことが起こりやすく、放射線量の高い内部被曝につながる危険があります。原発事故で飛散しやすい放射性ヨウ素は、甲状腺とよばれる喉の臓器に集まりやすくなります。旧ソ連のチェルノブイリ事故では放射性ヨウ素を含んだミルクを飲んだ子どもが、数年後に甲状腺がんを発症する確率が高くなっています。こうした内部被曝を防ぐため原子力発電所の立地自治体は、通常、重大事故時の対応のために安定ヨウ素を備えています。放射能のない無害のヨウ素を甲状腺に先にため、放射性ヨウ素がたまらないようにするためです。

(2017年6月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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