冬の食中毒

食中毒は、モノが腐りやすい梅雨や夏に多く発生すると思われがちですが、実は冬の方が発生件数は多くなっています。ノロウイルスによる食中毒が多く、夏と違って、見た目には新鮮な食材でも起こります。高齢者や幼児の場合は症状が重くなる例があり、調理の前の手洗いや火を十分に通すなどの予防が必要です。冬に起きる食中毒の原因としてはノロウイルスが最も多くなっています。11月頃から増え始めて1月頃にピークを迎え、4月になると急速に減っていきます。2番目に多くみられるのがカンピロバクターによる食中毒です。



ノロウイルスでは2~3日、カンピロバクターでは1~7日、嘔吐や下痢、発熱などの症状が続きます。こうした食中毒が直接の原因で死亡することはほとんどありませんが、高齢者などは脱水症状を起こして重症化する場合があります。ノロウイルスやカンピロバクターが原因で起きる食中毒は、夏に起きやすい通常の食中毒とは違った特徴があります。10~数百個程度のわずかなウイルスや細菌が口から入るだけで食中毒を起こします。特にノロウイルスは、カンピロバクターを含む細菌に比べて熱に強いとされています。細菌の場合は調理時の加熱は、摂氏75度で1分以上とされていますが、ノロウイルスは、摂氏85度以上で1分30秒以上の加熱が勧められています。冬だからといって食中毒に対する油断は禁物です。石鹸などをしっかり泡立てて1分ほどもみ洗いした後、しっかり流水ですすぐ手洗いを2回繰り返すと、手に付着したウイルスを大幅に減らすことができます。

(2018年10月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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