出産育児一時金の据え置き

厚生労働省は、出産した人に支給する出産育児一時金を2021年度は42万円に据え置くことを決めました。一時金に含まれる産科医療補償制度の掛け金が1万6,000円から1万2,000円に下がるため、実質的に受け取る額は4,000円増えることになります。子育て世代は、さらなる負担軽減を求めており、厚生労働省は、出産費用の実態調査をした上で、2022年度以降に実施する方向で検討することにしています。出産費用を巡っては、子育て世代への大きな負担になっているとして、自民党の出産費用等の負担軽減を進める議員連盟が、一時金について少なくとも4万円の増額を厚労省に要請していました。
出産費用は年々上昇し、妊婦の経済的負担は増え続けています。子育てサイト「東京すくすく」の出産費用についてのアンケートでは、出産費用の負担軽減を求める声は8割を超えています。正常分娩は自由診療で、施設によって価格設定が異なり、具体的な費用やサービスなどの実態を把握できていません。これまで一時金の増額に便乗して値上げする施設も少なくありませんでした。
若い世代にとって妊娠分娩にかかる費用は、大きな経済的負担となります。都市部においては分娩費用は、50万円を超える施設がほとんどです。出産育児一時金の増額は、少子化対策として重要であり、不妊治療の保険化よりも2022年度以降できるだけより早期に考慮されるべき施策です。

(2020年12月18日 東京新聞)
(吉村 やすのり)

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