労働生産性の向上のために

日本の労働生産性は諸外国に比べ低位です。日本生産性本部の報告書によれば、2020年の時間当たりの労働生産性は49.5ドルと、OECD加盟38カ国のうち23位でした。21位の前年から順位を下げ、1970年以降最低となっています。新型コロナウイルス下の2021年4~6月期の労働生産性でも、OECD加盟国の半数以上がコロナ前の2019年4~6月期と比べてプラスだったのに対し、日本はマイナス2.8%でした。テレワークは、働き手の労働環境の向上や企業のコスト削減につながるとして、コロナ禍前でも欧米企業の間で2~3割が活用しています。日本企業は、時間管理型の雇用制度などがハードルとなり、数%にとどまっています。国内では、新型コロナ拡大後に感染対策として普及しました。上手く使いこなせていないのが実態のようです。テレワークで生産性が下がったと回答した企業は、米国が11%、中国が16%に対し、日本は40%でした。
国内で、積極的にテレワークを継続する企業はまだ少数派のようです。生産性改善の妙手はテレワークだけではありません。裁量労働制や副業など多様な働き方の選択肢を広げることで、社員一人ひとりが最も成果を上げられるような環境へと変えていくことが重要になります。ジョブ型雇用で職務を明確化し、権限を委譲することで、社員が自律して高い成果を目指す組織づくりを進めることが必要です。

(2022年1月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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