動物性集合胚によるヒト臓器作製

文部科学省の専門委員会は、東京大の中内啓光特任教授らの研究チームが計画している、iPS細胞を使ってマウスとラットの体内でヒトの臓器を作る研究の実施を了承しました。正常に臓器ができる見通しが立てば、将来はブタなど大型動物で臓器を作り、移植医療に役立てることを目指しています。国が動物の体内でヒトの臓器を作る研究を認めるのは初めてです。
計画では、遺伝子改変して膵臓や腎臓、肝臓などの臓器ができないようにしたマウスやラットの受精卵に、ヒトのiPS細胞を注入して動物性集合胚を作製します。それぞれ子宮に戻すと、胎仔はiPS細胞からできたヒトの臓器を持つことが期待されています。チームは、ブタとカニクイザルでも動物性集合胚を作る計画ですが、当面は子宮に戻さずに培養してiPS細胞の状態などを確認することにしています。
一方、人の細胞を持つ動物を作ることには倫理面の課題が残ります。iPS細胞は様々な細胞に変化できるため、脳細胞にもなり得ます。今回の研究では、胎児の段階でマウスの脳を調べ、人の細胞が30%を超えた場合は出産させないという基準を設けています。

(2019年7月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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