医師の偏在

 医師は、西日本に多く、東日本に少ない西高東低の傾向にあります。人口10万人あたり、全国平均は245人です。最多の京都府の326人と、最少の埼玉県の159人や2番目に少ない茨城県の178人では倍ほどの差があります。同じ県内でも都市部とその他の地域では差が大きくなっています。日本の医師数そのものは、毎年4,000人程度ずつ増えており、2000年には25万人でしたが、2014年には31万人に増加しています。
 国は、自治体が奨学金で学費を免除する代わりに一定年数の地域勤務を義務付ける地域枠などを推進してきています。2007年度に7,600人余りだった医学部定員は、2016年度には9,200人余りにまで増加しています。しかし地域によって医師不足が生じる医師の偏在は、解消されていません。医師は勤務する場所や診療科を原則自由に選ぶことができ、配置を調整する仕組みがありません。地方の病院では、相変わらず深刻な医師不足に悩んでいます。医師が都市部に集中する偏在が解消されないためです。地方での医師配置を義務づけるような措置や診療科の定数枠を設けるような対策が必要となるかもしれません。今後医師過剰時代が必ず到来すると思われます。医師数を増加させることよりも、地域偏在と診療科偏在の解消をすることが先決です。

(2017年5月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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