医師の偏在

 都道府県別の10万人あたりの医師数は、京都が307.9人と最多で、最少の埼玉県と2倍の差があります。偏在対策を専門に検討する厚生労働省の医師需給分科会では、昨年6月に「規制を含む対策が必要」との中間報告を公表しています。医師がどこでも自由に開業できる「自由開業」や、法律で定められた診療科であれば何を標榜してもよい「自由標榜」の見直しにも踏み込んでいました。
 今回、医師の働き方などについて話し合う厚生労働省の検討会が、医師の偏在解消のために強制的な手段を使うことに反対する考えを示した報告書をまとめています。今回の報告書においては、偏在対策が後退している印象は拭えません。日本医師会は規制によって自由開業に風穴が開けられる事態を警戒しています。地域によって人口当あたりの医師数に大きな差があったり、特定の診療科に医師が偏っていたりする問題は、地域医療を支える医療機関の閉鎖・縮小に直結するため、国民にとって放置できない課題です。

(2017年7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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