医師不足の解消

厚生労働省によれば、全国の医学部の定員が今のまま維持されると、10年後には必要ない医師数に達するとの推計結果を示しています。医学部の定員は近年増加し続けてきており、2018年度の医学部定員は計9,419人に達しています。この定員が今後も続き、検討されている医師の労働時間規制を導入すると仮定して推計されています。働く医師の総数が2028年頃に約35万人となり、必要とされる医師の数と均衡して医師不足が解消されると推計しています。医学部の定員増を受けて、高齢化に伴う医師の需要増をまかなえる見込みです。
医学部の定員を2018年度のままで据え置くと、医師数は2016年の約31万5千人から、2028年には約34万9千人まで増加し、この時期に需要と供給が均衡するとしています。医学部定員は2008年度から医師不足対策のために臨時増員が続いています。医師や医療への需要は、高齢化が進むことで当面は増加が見込まれていますが、人口減の影響で全体の需要は、早ければ2030年頃から減り始める見通しです。過剰な病院ベッドを減らすための議論はすでに全国で始まっています。医師数は2040年に約37万1千人に達し、供給が需要を3万人も上回る見込みです。
厚生労働省の医師の養成数を検討する委員会では、受験生を考慮して2021年度までは今の定員数をおおむね維持する方針を確認しています。しかし、2022年度以降については、今後まとめる医師の労働時間の規制内容を踏まえて推計し直して検討することにしています。特定の地域や診療科で医師が不足する偏在対策を考えていかなければなりません。推計は、厚生労働省が検討している医師の残業時間に対する上限規制の内容によっては、必要となる医師の数が大きく変動する可能性があります。

(2018年4月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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