医師過剰時代への突入

 高齢化により、医師を必要とする患者は増えています。しかし、日本の人口はすでに減少しており、厚生労働省の検討会によれば、2035年までには医療の需要も減少するとみています。日本全体の医師数は毎年4千人ほど増えており、1990年には約21万人でしたが、2014年には約31万人に増加しています。現在の医学部の定員で医師数が増え続ければ、2040年には1.8万~4.1万人過剰になるとの推計をまとめています。
 経済協力開発機構(OECD)ヘルスデータによれば、OECD諸国の人口10万人当たり医師数は約280人なのに対し、日本は約230人に過ぎません。地方で医師が不足するのは、地域や診療科の遍在もありますが、医師自体が少ないとの指摘もあります。一方で、医師が増えすぎれば、過当競争で医療の質が低下する恐れがあります。また、医療費は年数千億~1兆円程度増えており、大きな要因は医師数の増加によることも否定できません。いずれにしても、医師数を増やすのは、あらゆる偏在対策を講じてからにすべきです。

(2017年7月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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