医療におけるゲノム情報の利用

医療現場でのゲノム情報の利用も本格化しています。100以上の遺伝子について、がん細胞で起きている変異を調べ、一人ひとりの体質やがんの特徴に合わせた治療法を探すがん遺伝子パネル検査が、2019年に保険適用になりました。ゲノムの違いをもとに治療方針をたてる医療は、個別化医療やオーダーメイド医療と呼ばれます。
狙った遺伝子を効率良く改変できるゲノム編集技術クリスパー・キャス9を、難病の治療に応用する研究も始まっています。目の病気である網膜色素変性症の原因遺伝子を、ゲノム編集で正常に治す研究が進められています。筋ジストロフィー患者のiPS細胞にゲノム編集を施し、正常な筋肉の細胞を作り出すことにも成功しています。
難病の半数は、特定の遺伝子が原因と言われ、ゲノム編集で治療できる可能性が高いとされています。しかし、研究の進展に伴って明らかになってきたのは、設計図に当たるゲノムだけでは決定できない生命現象の複雑さです。生活習慣の違いなどで、遺伝子の働き方は変化します。

 

(2021年9月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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