医療的ケア児の増加

医療的ケア児とは、たんの吸引や経管での栄養投与など、日常的に医療の処置が必要な子どものことを言います。2016年時点の推計では、約1.8万人に達しています。最新の技術や薬は、生まれつきの難病を治療する道を開き、自宅で生活できる子どもが増えてきています。そのため、家庭で日常的な医療ケアがいる子どもが、10年前の2倍に増えています。受け入れる学校は少なく、保護者の付き添いがいるなど家族の負担は重くなっています。
妊娠して28週目から新生児までの周産期死亡率は、2017年に出産1千に対して2.4となり、30年前から4.5ポイントも下がっています。米国の6.8、ドイツの5.5を大幅に下回っています。救える命が増えたことは素晴らしいことですが、これが日常的に医療ケアが必要な子どもが増えることにつながっています。しかし、こうした子どもを支えるわが国の体制は十分とはいえません。難病と闘う子どもと家族が置かれた現状は、科学の進歩についていけない社会の問題を映し出しています。

(2019年2月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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