医療的ケア児の増加

医療的ケア児とは、たんの吸引や、鼻などに通したチューブから栄養をとるといった医療的ケアを必要とする子どもたちのことです。厚生労働省研究班の推計によると、2008年の1万413人から2018年の1万9,712人と、10年間で2倍近く増えています。新生児医療や小児救急医療が進歩し、命が助かる赤ちゃんや子どもが増えたことが背景にあります。新生児集中治療室(NICU)などに長期入院した後、在宅医療に移行した子どもたちや家族に対し、どのような支援をしていけるかが大きな課題になっています。
特に母親への負担が大きくなっています。子どものケアを担っているのは圧倒的に母親で、働き続けることを諦める人は多くなっています。共働き家庭は増えていますが、子育ては母親がするのが当たり前といった、社会の中の性別役割分担意識は根強く残っています。就労継続のためには、日中に子どもを預けられる保育園が必要ですが、医療的ケア児を引き受けられるところはまだ多くありません。高齢者の介護施設には看護師が多く、こうした施設に医療的ケア児を預かる施設を併用しても良いかもしれません。

(2020年9月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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