受動喫煙の害―Ⅱ

受動喫煙対策
 国際オリンピック委員会(IOC)は、2010年に、世界保健機関(WHO)とたばこのない五輪を推進することで合意しています。それ以降に五輪・パラリンピックを開催した都市では、官公庁や飲食店などの屋内完全禁煙を実現しています。WHOは公共の場所を病院、大学、飲食店などに分類し、国の法律等で全面禁煙になっている場所がいくつあるかでランク付けしています。日本は、中国などと並び、最低ランクに位置しています。国民健康・栄養調査によると、受動喫煙の機会が最も多いのが飲食店で、42.2%に上っています。対策は必須ですが、禁煙化で売り上げが減ることを恐れる飲食店の経営者は多くみられます。しかしWHOは、2009年の報告書でレストランやバーの調査結果を分析し、全面禁煙にしても減収はないと結論づけています。
 日本内科学会や日本循環器学会など25学会が参加する禁煙推進学術ネットワークも部分的規制や分煙では効果が期待できないとして、面積基準による例外や喫煙室の設置等の分煙は認めるべきではないと声明を発表しています。分煙は、ある意味で喫煙を推進する方策でしかありません。科学的根拠に基づいて健康対策を進めるなら、全面禁煙しかありません。

 

(2017年10月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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