受動喫煙防止法成立

受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が成立しました。事務所や飲食店などが多く集まる施設は原則として屋内禁煙とし、違反者には罰則が適用されます。しかし、飲食店のうち個人や中小企業が経営する客席面積が100㎡以下の既存店には例外を認め、喫煙可能などと標識で示せば喫煙を認めています。東京五輪・パラリンピック開催前の2020年4月に全面施行されます。
政府は、当初飲食店に対し例外なしの禁煙を目指しましたが、たばこ産業や飲食業への影響に配慮する自民党内から反対論が出て、例外措置を広く認めることになってしまいました。東京都では受動喫煙防止条例が6月に成立し、政府よりも厳しい対策が導入されます。都内の飲食店は面積に関係なく規制の対象とします。従業員を雇う店は原則屋内禁煙で、煙を遮断する専用室を設ければ喫煙を認めます。従業員のいない飲食店は屋内禁煙、喫煙を選ぶことができます。
国の受動喫煙対策は海外と比べても遅れが目立っています。世界保健機関(WHO)の4段階の基準では、日本の受動喫煙対策は最低レベルです。受動喫煙による国内の推計死者数は、年間約1万5千人にも達しています。受動喫煙がある人はない人に比べ、肺がんや脳卒中になる危険性は約1.3倍になるとされています。今回の改正は、例外も多く満点ではありませんが、罰則付きで防止対策を義務づける法が成立したことは一応評価できると思います。今後は禁煙店が増えていくと思われます。

(2018年7月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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