喫煙者不採用の企業の増加

国立がん研究センターは、2010年に一般企業の人事採用担当者838人にアンケート調査を実施しています。喫煙の有無を採用基準の一つとしているとの回答はわずか3.7%でした。当時、喫煙者不採用を公言している企業は星野リゾートなど3社に限られていました。しかし、今年、ネット上でのリサーチをやり直したところ、百数十社が喫煙者不採用か、採用時に喫煙の有無を確認していました。2010年のアンケートでも、喫煙の有無を採用基準とすることが広まっていくと思うかとの問いに、41.9%が「そう思う」と回答していました。受動喫煙防止の機運が高まる中、喫煙者を採用しない企業が、少数ながら徐々に増えています。
喫煙者不採用を掲げる企業は医療関連のみならず、美容・エステ、人材派遣、運送、機械から風俗関係まで多岐にわたっています。就職活動では学生の売り手市場のため、社内の完全禁煙で安心をアピールする企業も出てきています。敷地内禁煙を採用する大学も増えており、次第に喫煙者不採用がメインになっていくと思われます。喫煙者不採用は、企業に広く採用の自由を認めた最高裁判所の判決に照らし合法だと考えられています。適正・能力に関係ない差別ならば、採用の自由は制限されますが、受動喫煙の害も考えると、喫煙者不採用は合理的な理由があり、差別ではないとされています。

(2018年11月1日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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