国会議員の妊娠について憶う

 国会議員が妊娠を報告したことに対し、職務放棄だといった批判が寄せられています。妊娠中には予期せぬ異常が起こりえます。流産や切迫早産など産休以外にも病欠せざるを得ない状況に陥ることがあります。任期中の妊娠はいかがなものかとか、辞職すべきだとの意見もみられました。また妊娠すれば国民の代表としての責任を果たせないのではないかといった批判もみられたそうです。日本の国会では、議員が出産のため出席できない時は、議長に欠席届を提出することなどを定めていますが、育児休業については規定はありません。地方議会でも育児を理由に欠席を認めているところは少ないのが現状です。
 議員が産休や育休を取った場合、有権者はその間に自分が投じた一票が政治に反映されないと不満に思うかもしれません。女性国会議員の比率が40%以上を占めるスウェーデンでは、国会議員も両親合わせて480日間の育休を取る権利があります。議員報酬は減額されますが、国から給付金を受け取ることができます。長期間休む場合、選挙の比例代表名簿で次点だった同じ党の人が代理を務める制度もあります。これまで、仕事で活躍する女性は、男性並みに振る舞うことが前提となっており、出産や育児をあきらめることも多くなっていました。議員でも出産や育児をしやすい制度を整えることは、多様な視点を政策に生かすためにも必要です。
 国会議員になった女性に「あなたは妊娠するつもりですか」とか、「任期中は妊娠しないでください」などの質問には、答える必要はないと思います。女性の政治への進出が遅れている日本ならではの問題提起ではないでしょうか。

(吉村 やすのり)

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