国民健康保険の赤字体質

国民健康保険は、自営業者や農家などが入る健康保険です。2017年度末時点の加入者数は約3,100万人です。国保は非正規労働者や74歳までの退職高齢者の受け皿でもあります。そのため健保組合や協会けんぽに比べて加入者の平均年齢が高く、所得水準が低いのが特徴となっています。厚生労働省によると、国保の2017年度の収支は450億円の赤字でした。2016年度に比べ、1,000億円縮小していますが、一般会計からの法定外の繰り入れで赤字を補填する構図が続いています。
国保は自営業者や退職者、パート労働者が加入、保険料は市区町村が決めます。国保は赤字が常態化しています。保険料を上げず、市町村の一般会計からの繰り入れで穴埋めしてきています。国保に入っていない住民にツケが回っている構図です。国保加入者のコスト意識が薄れると安易な受診を招き、赤字が膨らみやすくなります。国保は、こうした公費依存の体質を抜け出せません。財政健全化のため、2018年度に運営を都道府県に移しましたが、主要市区の過半が税金で赤字を穴埋めしながら、保険料を下げたり、据え置いたりしています。一部は前年度より穴埋めを増やしています。加入者の反発を避けるためですが、国保の財政規律が緩んだままでは、医療費増加に拍車をかけています。

 

(2019年5月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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