国民皆保険

 国民皆保険とは、国民全員が何らかの公的な医療保険に加入していることをいいます。大企業の社員を中心とした健康保険組合、自営業者などの国民健康保険、中小企業が中心の全国健康保険協会などがあります。毎月保険料を支払うことで、医療機関を受診した際の窓口負担は13割で済んでいます。誰もが必要な時に必要な医療を安価に受けられ、世界最高水準の平均寿命などを実現したわが国が、世界に誇ることができる医療制度です。
 高度経済成長期の1961年から皆保険制度がスタートしました。当時の国民医療費は5,130億円に過ぎませんでしたが、1978年度には10兆円、1990年度に20兆円、1999年度に30兆円、2013年度には40兆円を突破しました。この医療費の高騰は、急速な高齢化や医療技術の高度化などが原因です。
 公的な医療保険とするため税金など公費が投入されています。医療費全体が増加する中、公費負担も膨らみ、国の財政を圧迫しています。財源に占める患者負担の割合は1割強に過ぎません。保険料は5割弱で、公費が4割を占めています。これまで現役世代の保険料の引き上げなどで対応してきていますが、負担が重くのしかかってきています。今後は所得の高い高齢者の窓口負担増も必要となります。また高額薬剤の保険適応や過剰診療にもメスを入れなければなりません。

(2017年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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