地域での子育て意識の醸成

東京都港区が南青山に建設を予定する複合施設である子ども家庭総合支援センターの建設を巡っては、周辺住民から青山のブランド価値を毀損するなどの反発も出ました。この複合施設は、子ども家庭支援センター、児童相談所、母子生活支援施設の3つの区立施設を統合したものです。センターでは子育て広場を設け、イベントなどを通じてネットワークづくりができるようにします。一般的な相談と、児相での専門的な相談を結び付け、課題の背景をくみ取りながら、適切に支援することを目指しています。
機能は、大きく分けて①児童相談所、②子ども家庭支援センター、③母子生活支援施設の3つからなっています。児童相談所は、虐待対応だけでなく、子どもの発育、障害、不登校などの相談や支援にも対応しています。子ども家庭支援センターは、育児、しつけ、教育などさまざまな相談に応じます。親子の交流の場を提供したり、子育て家庭への支援事業も行う母子生活支援施設は、貧困の母子家庭が暮らしながら自立を目指します。あらゆる家庭環境に対応するのは、もちろんちょっとした子育ての悩みなど家庭が抱える課題にも向き合うのが特徴です。
馴染みのない都会での子育ては不安であり、一人で悩みを抱え込むことにより、虐待の原因にもつながります。妊娠初期から子育て、子どもの自立まで、切れ目なく応援するフィンランドのネウボラのような制度の確立を目指しています。子どもを地域住民が育てていくという意識の醸成にもつながる施設になることが期待されます。

(2019年6月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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