地方の消費や収入の低迷

新型コロナウイルスの感染拡大で、地方圏の消費や収入が一段と落ち込み、大都市圏との差が鮮明になってきています。人口15万人未満の小都市と町村では、世帯収入と消費の落ち込みが2020年秋ごろから大きくなり、2021年1月にはいずれも前年同月に比べて1割前後減少しています。中小企業で働く人が、民間企業の従業者全体の8割超を占めており、コロナ禍による経営不振が家計に響いています。
大都市ほど感染が広がっていない地方圏で、消費の落ち込みが深刻なのは、家計の収入が影響しています。地方で収入の減少が大きい背景には、中小企業比率の高さがあります。資金繰りが厳しくなりやすい中小企業は、従業員の賃金を下げてコロナ禍に対応しています。
地方では、コロナ禍が直撃した観光産業が地域経済の核になっているところが多くなっています。打撃を受けた地域産業が賃下げに踏み切り、家計の消費抑制が他の域内企業の業績不振につながり、さらなる賃金減を招く悪循環になっています。

 

(2021年3月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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